雑誌を見る
昔ならば本屋で立ち読むなり、よく手に取るその雑誌を吟味し、買ってから読む
それから時代が進み、サブスクなるものが登場し、こうパソコンに向かいながらいくつもの雑誌や本が淡々と画面に表示される
単に便利だと思う反面、身銭を切って買ったものとは明らかに消費の仕方が違うことに気付く
興味のある部分だけ抜粋し、少し違うなと思えばまた違う雑誌や本に気が移る 1冊にかける時間が圧倒的に少ないし、さらには心に残ることすら薄れて実に淡白で味気がない
雑誌に限ったことではなくて、音楽も映画もきっと当たり前にこの薄れた消費を繰り返していたんだと思う
若かりし日に、なけなしの金で買った雑誌 小さな記事にまで細かく読み込みながら味がしなくなるまでしゃぶりつくしたあの日のあれはもうない
気に入ったバンドの新譜を繰り返し聞きながら、かみしめるほどに味がするような楽しみ方を今はしない
昔より多くを読み、多くを聞き、多くを見ているが心に引っかかって残るものは微少だ
年老いて感受性が鈍っているだけだとは思えない むなしさと寂しさが残る