研ぎ澄まして刺そうとしているのであって、広くすくおうとしているわけではないんだと
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加減
作るとき、腰に巻きついた時に最大限パフォーマンスが発揮されることを重視しています
腰の曲線に巻きついた時に裏面(床面)が縮小し、表面(吟面)が拡張した際に革がバランスよく湾曲するように調整します
コバ剤(革の毛羽立ちを抑える薬剤)を厚塗りすれば見た目こそ綺麗にはなりますが、塗り固めては本来の革の伸縮を邪魔します
身につけた時の曲線を保つ以上には施さないことも重要です
使い込めば後に毛羽立つこともありますが、その際にメンテナンスすれば元のパフォーマンスが発揮できるような処理を心がけています
ブーツでいえば使い込んだソールを交換できるように最初から設計しているということと同じです
減りにくいソールを付けるのではなく、減っても交換して永く愛用する
そういうものを目指しています
どうにも説明のつかない好きな「もの」
インテリアショップや古物屋に足を運ぶと時に何に使うわけでもないものを不意に買うことがあります
といっても安価なもので、選ぶ基準もありません
単にアンテナに引っかかっただけのもの
直感で良いなと思っただけのものです
服も物も何もすべて口では説明のつかない頭のアンテナに引っかかったものを集めているだけです
脈略のない収集癖は単純に楽しいですね
自分の中での好きとは何か?
深く考えずこれからもいくのだと思います
うまくいかないことだらけ
思い描く完成図にたどり着くのはいつの世もトライアンドエラーの繰り返しです
失敗の中から次のヒントと発想を拾います
現時点での完成とか成功にたどり着いても必ずその先があります
1.2.3.4という段取りが1.2.4.3と変えるだけで大きく変化するときもあれば、これではダメだったという結論を導き出せた失敗を拾うこともまた多くあります
4が5.6を生み、また組み替えたり、時に新しい1を模索します
先人の方々から技法の助言をもらえるのは試行錯誤を繰り返し続けた先に無ければきちんと自分の技術として身には付かないものです
昔気質の職人さんの「見て盗め」は深く理解し自分の物にするには実は最短ルートなんだと今は素直に思えます
偉そうにこれを書いている自分の足元には今日も染めを失敗した残骸が・・
その上に「成功」と旗が立てばいいのですが・・
gavial single wristband
至極シンプルで主張がない分
恰好を邪魔しない引き立て役
そういうものもバランスを考えると必要なものです
過度でも過小でもないバランスをとれる装いこそ「洒落る」という事なんだと思います
SHINE BELT GERUGA COLOR
鋲ベルトらしいSHINEと
GERUGAらしいカラーリング
黒や茶も良いけれど
「色」をまとう とは楽しいものだと再認識できる
良いベルトだと思います
REBORN AFTER DEATH
新しく作りました ノベリティです
GAVIAL NEW TIGER BELT 3
wide 45mm
wide 35mm
wide 25mm
GAVIAL NEW TIGER BELT 2
より立体的に表現することが課題でした
レーザー刻印により虎柄に凹凸は出たもののそれだけではまだまだ表情は単純です
そこでベースの革に2種類の黄色をわざとムラが出るように塗り、その後オイルで濃淡を強調しました
革を引っ張り上げるとベースに黄色が塗布されているのがわかると思います
写真では伝わりづらいですが、奥行きのある虎柄に仕上がったと思います
また模様が永く持つように筆で天然ワックスをオーバーコートしました
経年経過は出づらいですが、その分表情を保つことが出来ると思います
GAVIAL NEW TIGER BELT
2014年にGAVIALから出したタイガーベルト
特殊なインクジェットを使い総柄を施したベルトは実験的でもあり、その当時の自身の最高到達点のアイデアを形にしたものでした
そこから6年ほどの月日を超えて今回新たにフルリニューアルさせて制作しました
新しいタイガーベルトはここ最近の研究成果の集大成です
レーザー刻印の深さ
染料の塗り分けによる3層構造
革を曲げると出てくる下地の色
オイルの加減とタイミング
風合いを長持ちさせる仕上げ
そして6年前よりアップデートさせたベルトの仕立て
正直、写真と文章だけで説明できるかはわかりません
良ければ手に取ってみていただきたい
本来展示会が開催できていれば、自分の言葉で説明したかったのだけれど、情勢的に致し方ないので、つたない文章ではありますが何回かに分けてここで説明してみようかと思います