革の厚みはスタッズの爪が通る限界値に設定してあります
なので写真のように折り返す部分が顔を出すのは0.2mmくらいです
グラインダーで削って鋭利な先端にしたペンチで爪をとらえ内側に曲げこむのですが、これが手首に負担となり苦労する部分です
時には手首が熱を持ちアイシングしながら断続的に作業をします
厚みのある「しなる革」でベルトを作るのには多くの意義があります
品質を守るためにもこの苦労は必要です
いいものができた時の喜びで大半の苦労は忘れ、報われてはいますが(笑)
職業柄なのか何なのかは定かではありませんが、服装よりも服飾小物に目が行きがちです
それはベルトに限らず(そもそもベルトは常には見えませんが)
ハットや靴・バッグ・キーホルダーから時計など無意識に目で追いかけていることがあります
ハットのかぶり方一つでも「どんな音楽に興味があるのだろう?」と連想させる事も
シフトレバーでへこんだブーツの汚れ具合に思わずバイクの話を振ったこともあります
その人その人のライフスタイルやこだわりが物を通してその人から表れ、興味がわくとでも言うのでしょうか
自身が手掛けている物もその人のバックボーンがにじみ出る一つのツールでありたいですね
何度も口に出しますが、小物はあくまで引き立て役です
ただ引き立てた先にその人となりを知る面白さも同時に内包していると勝手に信じています
hexagon(六角形)から 「HEX」と名付けました
一番細い2.5mm幅ですが、金と銀がセットになっている模様は主張が強くアクが強いです
数多くベルトを作る中で、自身の表現したいデザインには気分や流行りみたいなものがあります
繊細なスタッズの配列で緻密なデザインを起こしたい時期や
無骨な大きなスタッズで鋲ベルトとしてのそれに重点を置いたりですとか
よく「原点回帰」という言葉を最近耳にしますが、自分は回帰する事も回想する気もあまり興味はありません
ただ「初期衝動」を今の技術でまた表現できたらな・・とは考えます
初期衝動を心に持ち、今の腕で表現することが自分流の原点回帰だと思います
少し偉そうにも聞こえますが、強い個性やスタイルでねじ伏せないとベルトが勝ってしまうくらいの強いベルトを作るんだと思い,
やり始めた事が今の仕事です
その意図にぴったりの「HEX」です
裁断したレザーに特殊なインクジェットでストライプを施します (写真の状態がそれです)
ここから独自の調合のオイルを入れ込んで、タイガー特有の濃淡のある茶色にしていきます
わざとムラが出るように筆で最後にオイルと足して陰影を作ります
もともとが白ヌメと呼ばれるタンニンなめしの革の色そのままなので、オイルの食いは非常にいいです
色がプリントされている部分は黒の部分だけであとはオイル仕上げなので、レザー特有のアメ色に焼けていく経過を楽しめます
しかし夏はどうしても気温でオイルがゆるく、サラサラしているので入りすぎないように加減が必要です
この「加減」というものが、楽しさでもあり、難しさでもあります
感覚でマニュアルなし 生かすも殺すも自分次第
革の世界の奥深さを感じます